野生の原理

                                                 高野圭介


チンギス・ハンことテムジンがカラカジトの戦に負けた。

堺屋太一書き下ろしの『世界を創った男』(日経新聞連載中)
2007年3月23日記載の書き出しである。



「傷つき弱った者を襲え」・・・。これが野生の原理だ。
襲撃略奪を経済行為と考える漢北の民はこの原理に従って行動をする。


私はまったく驚いた。

碁の序盤から中盤戦にかけて、戦いのノウハウは
この野生の原理こそ唯一の指針なのだ。


弱い者を苛める・・・なんて、
私たちの頭からはすっかり消え去ってしまっているのに、何と言うことを!

あってはならぬ事を金科玉条として、
実践するのを最上とするのが碁の原理であるのに、
我々は弱者救済の福祉という思想に染まりきっていて、抜けない。


多くを言うまい。

碁は自分の弱い石を作るな。弱い石を逃げるな。
相手の弱い石に襲いかかれ。強い石とは戦うな。